花講義

レッスンで行っている花講義の中から抜粋してご紹介します。ぜひ花のある生活のご参考になさってください。

フランス 花の歴史とスタイル

フランスの花文化は、遠く昔、まだローマの侵攻を受けていた紀元前まで遡ります。王や神をたたえる装飾として、ガーランド(くさび状にした)の花冠・花輪や、果物・野菜とともにたくさんの花が飾られました。栄華を誇った時代には、花びらを敷き詰めたじゅうたん、香水をあびての会食、様々な宗教儀式、死者の弔い、婚礼の祭り等で、食卓・寝台・祭壇にふんだんな植物を使い、高い身分の人のみならず、平民や奴隷とされた人々も花冠をかぶり、花びらを浮かべたお酒を飲み干していました。

その後、時代の移り変わりとともに、花装飾も様々に変化します。

戦争が増え、芸術的に冬の時代と呼ばれた中世には、禁欲的な厳しい信仰心を民に植え付け、贅沢を忌みさせました。この時代の花装飾は、楚々とした小さな野の花や、畑の花をシンプルに飾り、宗教儀式で使うリースが流行します。また薬効成分を期待して様々なハーブを生活に取り入れるようになり、ささやかな贅沢としてラベンダーを寝室にしきつめたり、洗濯物に香りをつけるようになります。

その後再び貴族や王族の力が増してくると、荘厳な花が飾られ、タペストリーには様々な植物が織り込まれます。そしてイタリアからのルネサンスの大きなうねりとともに、明るく華やいだ生を謳歌する花々や装飾と変化していきます。イタリア・オランダ・ベルギーの画家が素晴らしい植物の静物画を描き遅れをとるもののフランスの画家も追随します。中近東からもたらされたチューリップがオランダにおいて素晴らしいクオリティに発展します。

太陽王ルイ14世の時代には宮廷装飾としていっそうの輝きを増します。はっきりとしたゴージャスな色使い、リボンや房をたっぷりつけた飾り布やアンティークの装飾品とともに花を飾ります。この頃に現在のフラワーフォームの原形となる土をコケでくるみ花止めにしたものが誕生し、より動きのあるキャスケードなどのデザインが考案されていきます。

ルイ15世・16世の時代には、軽やかなデザインや色合いが好まれるようになり、より洗練さを増していきます。バラや優しい野の花を好んだといわれるマリー・アントワネットが流行の最先端となり、小さなバラのつぼみやパステル調の花々、ブルーの花、クリスタルの花器が流行します。

ナポレオン王妃のジョセフィーヌは、バラを植物的に十分に研究させ、現在のバラの品種改良やボタニカルアートの基礎を築きます。

こうした時代の寵児とともに、流行の色や花材も変化していきます。

19世紀に入り、ロマンティックな田舎風のブーケが話題をさらいます。グリーンの多様性が追求され、印象派の台頭とともに花材のグルーピングによる光と影の演出も試みられるようになります。またパリ万博では、日本文化がフランスアート界に大変大きな影響を及ぼし、日本的な花材、余白の空間美、生け花風の花も登場します。

こうして宮廷装飾として一気に花開いたフレンチスタイルの花達は、現代においてもエレガントである事は必須条件です。クラシックとモダンの大きな流れの中に、時にはア・ラ・ソヴァージュ(野生的に)、ア・ラ・カンパーニュ(田舎風)、ロマンチック等の要素をたくみに取り入れながら、今日のフレンチスタイルと呼ばれる花達は、この長い歴史背景とフランス人の素晴らしい美的感覚に裏打ちされ、より洗練された印象的な花装飾となっています。

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